💸 給与計算をミスしてしまったら?社労士が教える正しい対処法と再発防止策
- MSL社会保険労務士事務所 代表 綱島 渉
- 6 日前
- 読了時間: 3分
更新日:3 日前

😨「給与計算ミスした…!」そのときどうする?
給与計算は、毎月必ず発生する大事な業務。
しかし、うっかり残業代を計算し忘れた、控除額を間違えたなど、ミスは誰にでも起こり得ます。
ただし、その対応を誤ると「信頼の低下」や「法令違反」となる可能性も。
今回は、社労士の立場から給与ミスが発覚したときの正しい対応フローと防止策をわかりやすく解説します。
✅ よくある給与ミスの例
ミス内容 | よくある原因 |
残業代の未払い | タイムカード未集計/申請ミス |
控除金額の誤り | 社保料・住民税などの計算ミス |
出勤日数・勤務時間の誤り | シフト表とのズレ/集計漏れ |
手当の漏れ | 資格手当・通勤手当などの未反映 |
🧭 給与計算ミスの正しい対処法【ステップ別】
🔹 ステップ①:速やかに事実確認
• 該当者の勤怠記録・申請書類・給与明細をチェック
• 他の社員にも同様のミスがないか確認
🔹 ステップ②:社員へ説明・謝罪
• ミスが確認された時点で、速やかに本人へ説明
• 内容・金額・修正方法・時期を明確に伝える
• 誠意ある対応が信頼維持につながります
🔹 ステップ③:正しい金額を支給/徴収する
【過少支給の場合】
→ 原則、速やかに不足分を追加支給(翌営業日~翌月給与に反映)
※現実的には翌月給与で調整する場合が多いです
【過大支給の場合】
→ 本人の同意を得た上で、次月給与から分割で天引きなども可
(※無断で一括返還を強制するのはNG)
なお、従業員から返還の合意を得られた際には、合意書を作成しておくとトラブル防止に役立つでしょう。
🔹 ステップ④:修正処理と記録保存
• 修正済の給与明細を再発行
• 給与台帳・勤怠管理システムも修正し、記録を残すことが重要
• 労基署の調査時にも有効です
⚠ 対応を怠るとどうなる?
給与は「労働の対価」であり、支払いは法的義務です。
以下のようなリスクが生じる場合もあります:
• ✅ 労働基準法違反(遅延・未払い)
• ✅ 会社への信頼失墜
• ✅ 従業員からの訴訟・労基署通報
🔁 再発防止のためにできること
🔸 勤怠管理のクラウド化
→ 打刻ミス・未集計を減らす
🔸 社内のチェック体制構築
→ ダブルチェック・他部署による確認など
🔸 計算ルールの明文化
→ 支給日や各種手当のルールを就業規則に明記
🔸 アウトソーシングも視野に
→ 繰り返しミスが多い場合、社労士事務所への外部委託も有効です
🙋♂️ よくある質問
Q. 未払い分はいつまでに支払えばいい?
→ 発覚次第、できるだけ速やかに(翌営業日以内が望ましい)
Q. 従業員が返還を拒否したら?
→ まずは会社側が給与計算を誤ったお詫びをしたうえで、従業員には過払い分を返還する義務がある旨を伝えましょう。民法第703条により、会社側には不当利得返還請求権があるため、過払い分の返還請求が可能です。その際、返還しやすい方法を従業員と相談して、生活をおびやかさないよう、本人の支払いやすい方法にすることが大切です。また、給与の過払いに対する返還請求の時効は、原則として支払い時から10年ですが、発覚してからできるだけ早く手続きを行うことが重要です。
🧑⚖️ 社労士からひとこと
給与計算ミスは「起きてしまうこと」ではありますが、
対応がまずいと大きな問題に発展することもあります。
その場しのぎではなく、「仕組みとしてミスを防ぐ」体制づくりが大切です。