【2025年版】クリニック経営者が知っておくべき労務ポイントまとめ
- MSL社会保険労務士事務所 代表 綱島 渉
- 12 分前
- 読了時間: 4分

開業医やクリニック経営者にとって、避けては通れないのが「人の問題」。
特に近年は、働き方改革・法改正・人手不足といった複数の課題が重なり、
「知らなかった」では済まされない労務管理のリスクも高まっています。
この記事では、小規模クリニックでも最低限押さえておくべき重要な労務ポイントをわかりやすくまとめました。
✅ 1. 医師の働き方改革と時間外労働の上限
2024年4月から「医師の働き方改革」が本格スタート。
勤務医だけでなく、診療所に勤務する非常勤医師・パート医師も対象になる場合があります。
押さえるべきポイント
• 年間960時間までの時間外労働(上限)
• 勤務間インターバル(終業から次の始業まで9時間以上空ける努力義務)
• 管理職であっても、勤務実態があれば対象となる可能性
📌 36協定の締結・届け出が必須です!(様式も通常の様式とは異なります。)
✅ 2. 看護師・医療事務スタッフのシフトと残業管理
夜勤、早番、遅番などがある医療機関では、複雑なシフト管理が必要です。
よくあるトラブル
• シフト変更を紙やLINEで行い、残業時間が把握できていない
• 残業代未払いによる労基署の調査
• 看護師が「サービス残業」と感じ、退職につながる
📌 クラウド勤怠システムの導入+就業規則の整備が重要!
✅ 3. 育休・産休・時短勤務の正しい運用
女性職員が多いクリニックでは、育児関連の制度に関する対応も非常に重要です。
押さえるべき制度
• 育児休業(原則1歳まで、条件により2歳まで延長可)←延長は半年ごと(例:1歳で保育園に入所出来ない場合→1歳6ヶ月まで延長→1歳6ヶ月でも保育園に入所出来ない場合→2歳まで延長可)
• パパ・ママ育休プラス(夫婦での取得も可能)
• 時短勤務(子が3歳まで・希望に応じて対応が必要)
•子の看護等休暇(小学3年生修了まで)
•3歳から小学校就学前までは事業主は以下の措置から2つ以上選択し、労働者はその中から1つ選択して使用することができます。(2025.10〜)
①始業時刻等の変更
② テレワーク等(10日以上/月)
③ 保育施設の設置運営等
④ 就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇 (養育両立支援休暇)の付与(10日以上/年)
⑤ 短時間勤務制度
📌 育休取得を理由に不利益扱いすると「マタハラ」に該当することもあり、指導対象となる可能性があります。
✅ 4. 就業規則と雇用契約書の整備
トラブル予防の第一歩は、明文化されたルールの整備です。
最低限必要なもの
• 労働条件通知書兼雇用契約書(契約内容の明示)
• 就業規則(常時10人以上で届出義務、10人未満でも整備推奨)
📌 雇用条件や罰則、退職ルールなどが曖昧だと、退職時やトラブル時にクリニックが不利になることがあります。
✅ 5. ハラスメント・メンタルヘルス対応
2022年から全事業所で「パワハラ防止法」が義務化。
クリニックでも小規模だからといって対策を怠ると、法的リスクあり。
推奨される取り組み
• ハラスメント防止の方針を明文化
• 相談窓口の設置(外部委託でもOK)
• メンタル不調者への配慮と休職制度の整備
📌 対応を怠ると「損害賠償責任」が発生することもあります。
✅ 6. 離職トラブルと退職時対応
「急に辞めた」「無断欠勤から音信不通」など、退職トラブルも後を絶ちません。
最低限備えておくべきこと
• 退職時のフロー(退職届の扱い、引き継ぎ、書類の交付)
• 最終給与の支払時期と明細
• 離職票や保険資格喪失手続きのスムーズな対応
📌 退職者との揉め事は風評リスクにもつながります。
🧩 社労士の活用で「本業に集中できる環境」を整える
日々の診療・スタッフ教育だけでも忙しい中で、
すべての労務管理を経営者が抱えるのは限界があります。
MSL社会保険労務士事務所では…
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